会長あいさつ

Greeting

現学会長(暫定)
細川 昌則

SAM研究協議会長就任にあたって

老化促進モデルマウス(SAM)研究協議会長就任にあたり、一言御挨拶申し上げます。

この度、竹田俊男老化促進モデルマウス(SAM)研究協議会長の後任として、平成27年4月1日付で会長を拝命いたしました。ヒトの老化過程と、様々な老年性疾患を研究するために、実験モデル動物としてSAM系統マウスを世界に先駆けて開発し、一貫してSAM系統マウスの重要性を世に問うてこられた竹田俊男先生の後任として、SAM研究協議会をお預かりすることになり、その責任の重さをひしひしと感じております。

HPの沿革に記載していますように、SAM系統マウスは、1975年秋から老化研究に有用なモデル動物として、系統の樹立とその特性を解析する作業が始まりました。1981年にMechanisms of Ageing and Development (17巻 183-194ページ) に第1報が掲載されてから広く世に知られるようになり、それ以来、国内、国外の多くの研究者にSAM系統マウスは提供され、老化研究に貢献してきました。多くの研究から次第に明らかにされてきたSAM系統マウスの特性は、遺伝的背景の複雑さはあるものの、老化に伴う全身の変化の多くが、ヒトの老化ならびに老年性疾患と同様の特徴を示したことです。このことから、SAM系統マウスは、促進老化(accelerated senescence)と、老年性疾患(senescence-associated disorders)の自然発症モデル動物と位置付けられています。さらに、SAMマウスが示す老化に関連した病態は、いわゆる加齢関連性病態(Age-related disorders)よりも、老化過程で生じる全身の諸臓器の退行変性(degenerative changes)と考えられる老化依存性病態(Age-dependent disorders)であり、これはたいへん大きな特徴であると考えています。

SAM系統マウスはヒト老年性疾患の自然発症モデル動物として、それらの治療・予防方法の開発に大きな役割を今後も果たしていくと考えます。これまでは、SAM系統マウスが示す老化に関連する形質のモデル性の検証に主力が注がれてきました。しかし、これらの形質の分子基盤、さらには背景となる遺伝子機能の解析は、順調に進んでいるとは言い難く、モデル性の理解には歯痒いところが多く残されています。

SAM研究協議会は、研究発表会等でSAM系統マウスを用いた研究に関する情報交換を行い、HPや書籍で研究成果を発信することで、また、遺伝的、形質的に信頼性の高いSAM系統マウスを広く、安定して研究者に提供することで、SAM系統マウスを用いた研究を促進し、世界の老化研究に寄与する事が使命と考えています。様々な課題を克服し、使命を全うするために、会員ならびにSAM系統マウスを用いて研究を進められる皆様には、是非積極的で建設的な御意見、御助言を事務局、幹事会までおよせ下さいますようお願いいたします。

微力ではありますが、SAM研究協議会とSAM系統マウスを用いた研究を少しでも前に進めたいと願っておりますので、よろしくお願いいたします。

2015年4月27日
細川昌則

現学会長(暫定)2018年3月31日迄